インドの情報サービス業



1990年代から2000年代にかけてインド経済を牽引していると言われていたITなど情報サービス業は、2000年代後半には優位性が揺らいできている。また、インド国外だけでなくインド国内にも情報サービス業の大きな市場があるにもかかわらず、インド企業は国外ばかりに目を向けているため、国内市場への欧米企業進出を許している[7]。 当初、インド企業の強みであった低コストは、為替変動と国内の人材不足により優位性を失いつつある。加えて、インド企業に仕事を奪われた欧米企業は、インド国内に拠点を設け、技術者を雇うことによって劣勢であったコストの問題を挽回した。同時に、単なる業務のアウトソーシングに留まらず、ビジネスコンサルティング等の高度なサービス提供によって差別化を図っている[7]。特にIBMの動きは活発で、企業買収を繰り返しわずか2年でインド国内でも最大規模の拠点を築いた。インド国内市場にも積極的に営業を行っており、シェアトップとなっている[7]。 こうした状況に、インド国内からは情報サービス業企業の革新を求める声があがり始めたが、インド企業の経営陣は海外にばかり目を向け国内市場には長い間目を向けておらず、またカースト制度に由来したエリート意識からインド企業の優位を信じて革新に対する意識は低い状況にあるという[7]。 こうしたインド情報サービス業の現状にギルフォード証券のアナリスト、アシシュ・サダニはインド企業は25%という高い利益率となっていることを述べた上で、「それほど高い利益率を維持できるのは、未来のための投資を怠っているということの表れなのだ」[7]より引用と評し、今後の成長のためには目先の利益だけでなく、将来へ向けた投資をしなければならないと指摘している[7]。
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